2020年の東京オリンピックが決まり、最近は外国人観光客を見ることも増えましたよね。
外国人観光客の影響か、日本の伝統文化の見直しやピックアップなどがメディアでは目立つようになりました。
浅草などでは着物や浴衣のレンタルをして街を歩く・・・なんて女性やカップル、外国人も多く日本人としてちょっと嬉しいと感じる今日この頃です。
ただ、そんな中で間違った作法を見るとちょっと残念に思うこともあります。
今回は知っていても損はなし!正しいお抹茶の頂き方やお茶席での振舞い方をご紹介したいと思います。
結構なお手前で・・・は恥ずかしい&超失礼!?
よくテレビなどで、お抹茶を頂いた後に「結構なお手前で・・・」なんて言うシーンがありますよね。
ですがあれはちょっと微妙な台詞なんです。
もし言ってしまったのであれば、完全素人として周りから白い目で見られることになるでしょう。
私は茶道を習い始めて5年ほどになりますが、お茶席で「結構なお手前で」と言っている人を一度も目にしたことがありません。
それは、その言葉が恥ずかしい&とても失礼だということをお茶を習っている人なら理解しているからといえます。
恥ずかしい&失礼な理由としては
上から目線&社交辞令的に聞こえる
「結構なお手前で」=大変素晴らしいお手前ですねという意味となりますが、お手前で・・・で留めると何か含みのあるような雰囲気を感じることもあります。
また、「結構」という言葉の解釈が難しいため人によっては結構=まぁまぁといったニュアンスにとってしまうこともあります。
そうなると、「結構なお手前で」=「まぁまぁ美味しいから頂きます」といった上から目線な言葉となってしまうのです。
本当に褒めているのか、それとも社交辞令なのか・・・お茶を点てた側からするとモヤモヤとした気持ちになってしまうこともあります。
逆の意味で言っているように聞こえる
これは、京都の「いけず文化」から考えた時の解釈の仕方です。
「結構なお手前で」=「よくもまぁ、こんな(まずい)お茶を出せますよね」という意味を含む場合があります。
そういった嫌味な気持ちを含んでいなくても誤解されてしまうと悲しいものです。
お茶は京都が発祥だからか、時々いけずなお客様もいらっしゃいます笑
それを上手く交わしながらお茶会を楽しむといったこともありますが、できることなら穏やかな気持ちでお茶会に出席したいものですよね。
絶対に言ってはいけないという訳ではありませんが、上記の意味に捉えられることも考えられるのであまりお勧めはできません。
変な誤解を生まないためにも、「結構なお手前で」は避けた方が良い言葉の一つといえるでしょう。
正しい言葉は「大変美味しゅうございます」
では何て言えば良いの?と迷ってしまうこともあると思います。
「大変美味しゅうございます」、「美味しゅうございます」と答えるのが一般的です。
ただ、日常ではあまり使わない言葉なので茶道の経験がない人は、丁寧な言葉過ぎて恥ずかしいと感じるかもしれません。
そんな時は、「とても美味しいです」、「美味しく頂いております」など素直な言葉で大丈夫。
変に知ったかぶりをするよりも、素直に美味しいですと答えた方がお茶を点てた側も嬉しいと感じることができます。
また、勘違いしている方が多いのですが、基本的にお客様からお茶の感想を述べることはありません。
亭主(お茶を点てた人)から、正客(一番上座に座るお客様)がお茶を一口召し上がった後、「お加減いかがですか、(お服加減いかがですか)」と尋ねます。
その後に、「大変美味しゅうございます」、や「良いお加減でございます。」などとお返事をします。
これが一連の流れなのに、何も聞かれていないのに感想を言うのはNG。
また、次客(正客の隣に座るお客様)以降は基本的に感想は言いません。
お正客が一番偉いお客様なので、正客を差し置いてベラベラ話し出すようなお客様は次回からお茶会には呼ばれないでしょう。
どうしてもお礼を言いたいという場合は、帰り際にさりげなくお伝えしたり、後日お礼状を送るなどするのがマナーです。
基本的に正客になる方は、茶道に精通している方、亭主と親しい間柄の場合が多いですが時々デパートやお寺などで開かれるお茶会の場合は、チケットを購入すれば誰でも参加できる場合があります。
その時正客になってしまって不安な時は、「お正客の作法がわからないので、どなたか代わっていただけませんか」と頼んでみることがおすすめです。
わからないことはわからないとはっきり言うことは恥ずかしいかもしれませんが、知ったかぶりをして白い目で見られるよりは賢明な判断といえるでしょう。
正しいお茶の頂き方
続いて正しいお茶の頂き方。
お茶会などの席ではなくても、拝観料の中にお抹茶+お茶菓子が含まれているお寺が多くあります。
ただお庭を眺めながらお茶をどうぞということなので、特に作法を知らなくてもOKですが知っていると余裕を持ってお茶が頂ける&お庭を拝見できるといったメリットがあります。
お茶ってどうやって飲むの?お菓子の食べ方って?と思っているのであれば、覚えていて損はないといえるでしょう。
①お茶菓子を食べる
お茶とお茶菓子が一緒に出てきた場合、最初にお菓子を頂きます。
同時に飲食するのはNG。
まず、お菓子をいただきましょう。
茶道はその名の通り、お茶が主役。
お菓子は引き立て役として考えます。
先にお菓子を食べることで、お茶に甘みが出て飲みやすくなったり、空腹時にお抹茶をいただいた時は胃に負担がかかるのを防ぐ役割もあります。
お菓子を食べる前に、本来はお菓子をのせた懐紙を少し上げ、頂いたことに感謝するのですがお寺や神社などでいただいた時は「いただきます」と小さく頭を下げていただいてもOKだと思います。
目の前に亭主がいる場合は別ですが、誰もいない時はそこまでかしこまらなくても良いと私は思います。
②お茶を飲む前に一礼と感謝
お菓子をいただいたら、続いてメインのお茶をいただきましょう。
お茶碗を持つ前に、畳に手をつけてお茶に向かって一礼します。
本来は、お茶を点ててくれた亭主に対しての「お手前頂戴いたします」と伝えるための一礼なので、「誰もいない場合は省略してもOKだと思います。
その後お茶碗を右手で茶碗をとり、左手に乗せ、右手を添えて胸上ぐらいまで上げて感謝します。
③茶碗を2回まわす
感謝した後は、胸下あたりまでお茶碗を下げ、時計回りに2回まわします。
1回20度ぐらいまわすと2回目で40度ほど回るので、お茶碗の正面が左側になります。
正面を避けていただくのが茶道のルールです。
真正面から飲もうとせずに一度気持ちを落ち着けることも含めてゆっくりと回しましょう。
④一口飲んだらお茶碗を下げる
2回左に回したら、まずは一口いただきます。
一口頂いたら、茶碗を胸のあたりまで下ろします。
茶会の場合は、これが亭主が尋ねるタイミングの合図となります。
お寺や神社の場合、亭主がいないことが大半なので会話はありませんが、一呼吸おきましょう。
⑤三口程度で飲み干す
一気飲みはNGですが、こまごま飲むのもお茶が冷めてしまう&見栄えが悪いのでNGです。
一口飲んで、一呼吸置いたら二、三口で飲み干しましょう。
最後の一口は「ずずっ」と吸い込む音を立てることで飲み終わりの合図となります。
⑥飲み口を清める
飲み口を指でささっと拭きます。
拭いた指は懐紙でふき取るか、懐紙がない場合はティッシュやハンカチで拭きましょう。
⑦茶碗を2回まわして戻す
飲み終わったら、茶碗を左手に置き、右手で左回りに2回まわします。
左に回っていた正面を、また元に戻します。
⑧余裕があるなら茶碗拝見
お茶は飲んだら終わりではありません。
飲んだお茶碗を拝見することもご馳走と考えられています。
どんな絵柄なのか、肌触りや何焼きなのかなどを畳の上に置いて拝見します。
傷をつけたり壊したりしないように、必ず畳の上に置いて拝見しましょう。
触る時は、姿勢を低くして万が一手が滑っても茶碗に傷がつかないよう前かがみになることがおすすめです。
おわりに
私が茶道を習い始めたきっかけは、京都のあるお寺でお抹茶を頂いたことでした。
どうやって飲むの?お菓子を食べるタイミングって?など何もわからず頂いてしまったことが恥ずかしくて茶道をやってみたいと思うようになりました。
茶道は敷居が高くて・・・と思っている方も多いかもしれませんが、ちょっとした作法を知るだけでお客様としてお茶会に出席することは可能です。
お茶会までとは行かなくても、神社仏閣が好き!という場合は、是非お茶の頂き方を覚えて穏やかな気持ちで拝観してみてください。